パパのソーラー発電
東向きのマンションでソーラー発電は可能か?
<まえおき>
 計画停電が実施された時、我家には電池で動くものがなく、困ったことになりました。  幸い、府中は計画停電が実施されなかったため、不便を感じることはありませんでしたが、 照明やテレビなどの電気製品はもとより、ガスや水道まで電気で制御している為、 本当に何にもできなくなるところでした。
 家にはラジカセはありますが、電池は入っていませんでした。  電池を買いにスーパー・コンビニ・ホームセンターに行きましたが、どこも品切れで売っていませんでした。  ラジカセは、停電の時は乾電池がなければ動きません。たとえあったとしても、 その乾電池も無くなれば、それでおしまいです。
 そんなわけで、停電があった時のために、自分で電力を確保する方法として ソーラー発電を試してみることにしました。
 我が家はマンション5階の東向き、ソーラー発電には不向きな立地です。 果たしてどこまで電源確保ができるのか。
 これは、全くの素人の私(パパ)が体験を兼ねたソーラー発電実験です。
 
 まず最初にインターネットで情報を収集しました。いろいろな情報がある中、どうやらパワー社というところが 本を出しているようです。早速、図書館で借りることにしました。下記の書籍になりますが、 とても参考になるので、ソーラー発電に興味のある方は是非読んでください。

 『はじめての太陽光発電 1枚のパネルから』 パワー社
 『手作り太陽光発電 家庭で楽しむ太陽電池工作 電気の元はお日様です』 パワー社

私は、この2冊の本を参考にスタートすることにしました。

 <はじめて自家発電をする場合の手順>
@システムを設計する。
・・・最初にパネルありきでしたので、発電量に応じて使う機器を考えると言う順でした。
A機器を購入する。
・・・専用部品以外はホームセンターで買う。
B設置する。
・・・我家はベランダ、しかも東向き。限られた時間・場所を最大活用です。
  
<準備編>
20110515_01.jpg  これが発電の要となるソーラーパネルです。
 ヤフオクで堀江商事というところから10000円(送料他12400円)で購入したものです。
 思っていたよりも重くて、作りがしっかりとしています。アルミフレームで発電面はガラスになっています。中国製です。

20110515_02.jpg  裏側です。屋外での設置を想定してて、パネルの隅は全てコーキングされていて、電源ユニットもケーブルを含めて防水処理が施されています。

20110515_03.jpg  規格ですが、ご覧の通りです。
 50W・18V・2.78Aになります。
 システムが最大1000Vらしく、直列でも55枚まで連結できるようです。仮に最大枚数連結したら2.75kwになります。
 同じ種類の100Wパネルがあって、これも同じ規格なので55枚連結すると5.5kwのシステムが作れます。
 並列接続なら305Aなので、容量105Aのバッテリー3個が一時間ちょっとでいっぱいになります。すごいですね。

 もし、住宅用と同じ3kwの発電をしようとした場合、このパネルが60枚必要です。100Wタイプなら30枚ですね。  100Wタイプで1枚10kgだから、30枚で300kgになります。屋根の強度が心配になります。

20110515_00.jpg  これはヤフオクで、同じ堀江商事から2500円(送料他3475円で)購入したソーラーパネル用コントローラーです。
 定格 12A
 出力 12V/24V自動切替
 インジケーター付き
 意外に、小さく軽い機器です。

 仮に50W・2.78Aのパネルを接続する場合、最大4枚200W11.12Aまで連結できる計算になります。
 同じく100W・5.5Aのパネルなら、2枚11Aまで連結できます。  

20110515_02.jpg  左の写真は車用インバーターです。
 ホームセンター(Jマート)で購入。
 2980円
 BATTLE社製 CB90
 出力 200W(最大300W)
 入力電圧 DC12V(11.0〜15.0V)
 出力電圧 AC100V(±10%)
 出力周波数 55Hz(あれ?)
 変換効率 85% 
 回路方式 スイッチング方式インバーター
 使用温度 0℃=+40℃
 ヒューズ 25A 
 定格200W出力時、入力側を同じ電力にすると
 200W÷入力12V×85%=19.6A
 フルパワーだと、あっという間に電気がなくなりそう。

20110515_01.jpg  これは車用のバッテリーです。
 オートバックスで特価で購入。
 神戸電気 38B19L(性能38・Bサイズ・幅19cm)
 最初の数字はバッテリーの性能でCCAとRCを掛けた値の平方根に2.8を掛けたものらしいですが、  どれくらいのAを期待してよいのか明確な資料がありませんので、 単純に最大許容量38A(アンペア)、安全使用容量19Aと考えています。

 仮に上のインバーターにつないで使用する場合、フルパワーなら1時間で安全容量を使い切ります。
 幸い、電圧が低下するとインバーターがアラームを鳴らして安全装置を作動してくれます。

 電力と電圧と電流の計算式ですが式は下記の通り
 仕事量・電力(W・ワット)÷電圧(X・ボルト)=電流(A・アンペア)
 仕事量・電力(W・ワット)÷電流(A・アンペア)=電圧(X・ボルト)
 電圧(X・ボルト)×電流(A・アンペア)=仕事量・電力(W・ワット)

 試しにインバーター経由でPCに使用したところ、本体とモニター両方使用で3時間、 モニターだけに切り替えて3時間もちました。モニターだけなら9時間くらいはイケそうです。

20110521_001.jpg  カーショップで、配線の接続用にカプラーと絶縁テープを買ってきました。合わせて360円くらいです。



20110515_03.jpg  かかった金額は下記の通り
 ソーラーパネル(50W)  ヤフオク   12400円
 コントローラー(12A)  ヤフオク    3475円
 インバーター(200W)  Jマート    2980円
 バッテリー(38B19L) オートバックス 3980円
 絶縁テープ・カプラー)   Jマート     360円
 合計 23915円
 結構散財しました。


 もし、今の電気料金(1kw:約22円)で元を取ろうとすると、
追加コストなしでも17年かかります。
 1日充電平均3.6時間 × 50W × 365日 = 65.7kw
 65.7kw × 22円 = 1445円/年

 23915円 ÷ 1445円/年 = 16.55年
 実際は発電効率の悪い東向きマンションの上、
バッテリー寿命やソーラーパネルの効率低下を考慮すると、
20年以上元はとれそうにありません。
 自分の知識や経験を増やしつつ、趣味の範囲で
停電対策も兼ねるという意味ならOKではないかと思います。


<設置編>
20110515_04.jpg  早速、ベランダに置いてみました。
 午前中は光が横に近いので、
イーゼルを立てて太陽光に対し直角になるようにしてみました。
 直角なら、朝の光でも1000Wの光量はありそうです。
 午前中だけの日当たりなら、40度固定が適当そうです。

20110515_02.jpg  ジョイントをつなぐ端子が、よく分からないので、
ワニ口クリップで接続します。
 電線は古い家庭電化製品のACコードを流用しています。

20110515_01.jpg  バッテリーはDバックに入れて持ち運びしやすいようにしました。
コントローラーも接続し、日陰に置きました。

20110515_03.jpg  昨日、インバーターが変換できなくなるまで使いましたが、
バッテリーは真ん中のインジケーターがうっすらとついています。
充電のインジケーターは、薄暗い感じです。
最大12Aのコントローラーに2.75Aのパネルからなのか、イマイチです。
太陽光線のせいかもあるかもしれません。

20110515_00.jpg  お昼近くなると日差しが垂直になるので、
パネルもべた置きです。

20110515_06.jpg  午後は西側の通路においてみます。
1時くらいでは、まだ日陰になっています。

20110515_07.jpg  2時になり、ようやく日差しがあたるようになりました。
 これから発電をしてくれそうです。

20110521_000.jpg  太陽が当たりやすいように横置き・直角にしました。
 気持ち良さそうです。

<ロス(損失)について>
 ソーラー発電に関わらず、発電にはロスがつきものです。
 発電のロス、送電のロス、蓄電のロス、インバーターなら変換のロスです。
 係数としては、
 発電:80%(東向きであることや汚れなども影響)
 直流電圧変換・送電:90%(コントローラーの性能や配線の太さ長さに依存)
 蓄電:90%(バッテリーの種類に依存)
 交流変換:85%(インバーターの性能に依存)
 これを全部勘案すると・・・
 50W × 80% × 90% × 90% × 85% = 27.54W
 半減しちゃいました。
 送電は太い配線を使ったり、配線を短くすることで逓減できますが、
 発電・蓄電・変換はどうすることもできません。ベストな状態でも30Wくらいでしょう。

 今は、ベランダで35度くらいの角度で固定し、配置しています。
 初夏の天気の良い日は6時30分〜10時30分まで4時間くらい太陽光が当たります。
 4時間×27.54W(1.67A)=110W(6.68A) の発電計算になります。
 でも、週末の1日午前だけでも充電できれば、一週間(9時間以上)はPCのモニターを使えるので、
 実際はそれほどロスは発生していないのかもしれません。

 東京は年間日照時間は5.84時間で1000W換算で3.6時間/日だそうです。
 お日さまが出ていても、2時間は1000W以下(明るさが不足)ということでしょう。
 東向きベランダで4割程度の日照だと仮定すると。
 3.6×40%×27.54W(1.67A)=39.66W(2.4A)/日
 年間を考えると、あまり発電してません。
 でもモニターだけなら、雨や曇り・バッテリー容量を勘案しても、
 十分なシステムかもしれません。


<追加編>
20110626_01.jpg  新たに購入した100Wパネル。かなり大きいです。サイズは935mm×850mmかな? 今までの50Wも大きく感じましたが、 100Wは更に大きいです。むしろ、50Wが小さく感じます。今までと同じベランダ手すり前に35度の角度で設置します。

20110626_00.jpg  50Wパネルをどうするかというと、クーラーの室外機の上において、早朝6時から8時までの2時間の日射で発電するように、ほぼ垂直に置きました。、

20110626_02.jpg  2枚のパネルの配置です。角度の違いが一目瞭然です。どちらも日射時間や角度から同時に100%の発電出力が得られるわけではありません。つまり最大発電量の150Wを発電するタイミングはなく、それぞれの最適時間で発電をすることになるわけです。

2011062501.jpg  それでも、天気の良い時はかなりの発電があるようです。バッテリー残量も3つ目のLEDがつきます。

 かかった金額を再計算
 ソーラーパネル(50W)  ヤフオク   12400円
 ソーラーパネル(100W) ヤフオク   23100円
 コントローラー(12A)   ヤフオク    3475円
 インバーター(200W)   Jマート    2980円
 バッテリー(38B19L)  オートバックス 3980円
 絶縁テープ・カプラー・他  Jマート    1958円
 合計 47883円

 今の電気料金換算だと、永遠に回収できそうに無いです。



<活用編>
20110706_04.jpg  ベランダに設置されている2枚のパネル。普段はPCのモニター電源に使用しています。停電の時は バッテリー併用の非常用電源として活用できるようにしています。

20110706_05.jpg  意外ですが、日陰の午後や曇りの日も発電しています。
 発電量は1/3程度(50Wくらい)。
 雨の日も発電していて、大体1/10(15W)くらいでしょうか。
 全く発電していないのは夜だけのようです。

20110706_03.jpg  配線をデッキの下を這わせて窓のそばに配置します。そこからインバーターを繋いでPCモニターに接続します。  ウサギの前がバッテリーからの延長コード(許容範囲60W)。そこから室内のインバーターに接続します。
 できれば、フル規格(200W)の延長コードがほしかったですが、売っていませんでした。自分で作るしかないようです。

20110706_00.jpg  家で一番使っているメインマシン。昼間も夜も敦子さんがアルバイトのデータ入力などで使っています。
 以前は私のサブマシンのモニター(15inchモニター DC12V 30W)で直接接続で使用していたため、1回のフル充電で9時間でしたが、 インバーター経由の17inchモニター(AC100V 33W)の場合、稼動できるのは8時間くらいでしょうか。
 発電している昼間も使用していますが、使用しているということは、その分、充電をしていない上、インバーターがあると減衰するので時間的に厳しくなるようです。夏のように毎日晴れていれば、問題ないですが、梅雨明け前の曇りや雨の日が連続すると、数日でバッテリーの電圧が下がり使用できなくなります。安定性は問題ありそうです。バッテリーを増強するなどの対策が必要かもしれません。



<進化編>
2011090401.jpg  2011年夏 未曾有の扇風機欠品の中、ベランダは発電だけでなく朝顔も植えました。
 娘が学校の宿題か何かで栽培をしているらしいのですが、見た目に涼しいですね。

2011073101.jpg  2012年7月31日、バッテリーケースを作成しました。
 ただの段ボールなんですが、バッテリーを納めて、コントローラーもすっきりと格納。

2011092301.jpg  2011年9月23日、ACデルコが着ました。M31MF Voyager 計算上は135Aになります。これですぐにバッテリー切れを起こすことはないと思います。

solarsystem.jpg
 2012年5月23日現在 上の画像のようなシステムとなっています。
 晴れた日でメインバッテリーのACデルコがいっぱいになったら、充電器でサブバッテリーを強制的に高圧充電します。
 コントローラーによる充電は、車両用バッテリーを限界まで充電できないようです。

我家の電気事情